社団法人日本広告審査機構 御中
要 請 書
2006(平成18)年1月18日
アイフル被害対策全国会議
代 表 弁護士 河 野 聡
事務局長 弁護士 辰 巳 裕 規
要 請 の 趣 旨
アイフル株式会社(以下、「アイフル」という)の宣伝広告の全てにつき、適正に審議されること、並びに関係各所に対し宣伝広告の中止若しくは改善を検討するよう求めることを要請する。
要 請 の 理 由
【はじめに】
当会議は、消費者金融大手のアイフルによる被害が全国各地で発生していることを懸念する、全国クレジット・サラ金問題対策協議会(代表幹事 甲斐道太郎、事務局長 弁護士木村達也)所属の弁護士・司法書士・被害者の会が中心となって結成された団体である。 アイフルは、東証及び大証1部に上場する貸金業を営む株式会社であり、新規顧客獲得数においては業界トップとなっている。
【アイフルの業務の違法性など】
貸金業者は関係法令を遵守し、企業経営を行わなければならないことは当然であるところ、アイフルは利息制限法に違反した高金利貸付を行っている事実がある。利息制限法は1条1項において、10万円未満の貸付けについては年20%、10万円以上100万円未満の貸付けについては年18%、100万円以上の貸付については年15%を超える利息についてはその超過部分を無効と定めている。同条項は強行法規であり(最高裁判決昭和39年11月18日)、これに違反する約定は、たとえ資金業の規制等に関する法律(以下、「貸金業規制法」という)43条のいわゆる「みなし弁済」が成立する場合においても、利息制限法を超過する部分については無効であることに変わりない。また、貸金業規制法43条については、最高裁判所は極めて厳格な解釈態度を示していることから(最高裁判決平成16年2月20日・平成17年12月15日・平成18年1月13日)、同条の適用により「みなし弁済」の認められる貸金業者はほとんど存在しない。特に平成17年12月15日最高裁判決において大手サラ金が行っている残高スライドリボルビング払いという貸付形態では利息制限法所定金利以上の金利を取得することができないという判断がなされた。アイフルはじめ大手サラ金はこの形態による貸付を行っているのであり、およそ貸金業法43条の適用を受ける余地はなく、これら業者が利息制限法所定金利以上の金利を取得することは違法行為であると考える。
当会議は、全国の弁護士・司法書士・被害者の会に呼びかけ、平成17年7月25日にアイフルに対し利息制限法を超過する部分の返還を求める集団一斉提訴を行ったが、アイフルから貸金業規制法43条の「みなし弁済」を主張してくることも無く、大部分においてアイフルの全面敗訴的和解が成立している実態がある。即ち、利息制限法を超過する利息が無効であり本来返還しなければならないものであること、貸金業規制法43条の「みなし弁済」の適用の無いことをアイフル自身が認めているものといえる。
また、アイフルにおいては、別紙に添付した被害例が示すとおり、不動産を略奪しているとしか思われない異常な貸付や恐喝まがいの違法な取り立てなどが行なわれている事実もある。
このような高金利貸付けや過酷な取立ては、債務者を返済のための借入へと追い込み、終局的には返済不能となって破産せざるを得ない状況を作り出す要因となっていることは明らかである。
【アイフルの宣伝広告の問題点】
アイフルが業界トップとなった背景には、宣伝広告効果に因るところが大きいことはアイフル自身も認めるところである。
その宣伝費は、平成16年で約137億円、平成17年では約150億円という巨費が投じられ、来期はさらに宣伝費を30億円増加し、テレビCMの強化に充てると宣言している。これらはいうまでもなく、愛玩犬のチワワや女性人気タレントを起用したテレビ・新聞・雑誌等の宣伝広告に費やされている。
テレビCMでは、ソフトでコミカルな演出によって企業イメージの向上を図り、その思惑通りCM好感度ではアイフルは常に上位にランクされている。また、20代、30代、40代の年齢層の多くが、テレビを視聴する時間帯に大量のCMを流し続け、アイフルがいかにもソフトな会社であるかのようなイメージを一般消費者に対し植えつけている。
しかしながら、アイフルの宣伝広告は、実質年率を表示するのみで上述のように利息制限法に違反した約定金利を設定していることは何ら記されていない。また、利息制限法を超過する部分については債務者に支払い義務のないことも一切明示されていない。即ち、アイフルの宣伝広告には、一般消費者に知らしめるべき最も重要な事実は表示されず、イメージのみの宣伝広告が行なわれているのである。そして、そのイメージさえ現実とはかけ離れたものであり、違法・不適正な業務によって債務者に多大な被害を生じさせていることを覆い隠そうとするものといえる。
【まとめ】
1部上場の企業でありながら法令を遵守することなく違法・不適正な業務を行なっているアイフルの宣伝広告をこのまま継続させることは、今や深刻な社会問題となっている多重債務の構造的被害を助長するばかりか、さらなる多重債務者を生み出し、ひいては借金を苦に自ら命を絶たざるをえない者や借金を原因とする犯罪をも生み出す要因を作出しているとも言え、極めて重大な問題である。
以上のことに鑑み、アイフルの宣伝広告につき適正に審議されることを要請するとともに、アイフルの宣伝広告を直ちに中止するよう関係各所に検討を求めることを要請する。また仮に、直ちに中止できないとしても、その宣伝広告において、約定利率が利息制限法に違反していること、利息制限法を超過する利息については支払い義務のないこと、借入により破産のおそれのあることを注意喚起することなどを明示するよう検討を求めることを要請する。
以 上