2006年6月15日
新聞各社 御 中
サラ金広告掲載中止の申入書
全国クレジット・サラ金問題対策協議会
代表幹事 甲 斐 道太郎
全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会
会 長 矢 野 節 子
アイフル被害対策全国会議
代 表 河 野 聡
43条対策会議
代 表 茆 原 洋 子
申し入れの趣旨
1.新聞紙面におけるサラ金広告を直ちに全面的に中止することを求める。
2.利息制限法の範囲内で貸付けをする貸金業者であっても、欺瞞的な金利表示、 おまとめローン勧誘を含む過剰貸付、居住用不動産の担保ローン等の違法・不 当な貸付形態で貸付けを行う業者、利息制限法を超える金利で貸付をするサラ 金と銀行の業務提携により設立された業者については、広告を受け入れないよう求める。
申し入れの理由
1.はじめに
去る4月14日、勤務先への架電、義務無き親族に対する取立、公的証明取得のための委任状の偽造等の極めて悪質な違反行為によって、大手サラ金業者「アイフル」が近畿財務局によって業務停止処分を受けた。これに伴い、アイフルは広告を自粛している。
昨年9月と今年2月にアイフル被害対策会議が被害の存在をうったえ、広告掲載中止を求める行動を行っていたにもかかわらず、新聞・テレビは広告を中止することなく、被害を拡散させたものであり、強い反省が求められるところである。
これはアイフルだけの問題でないことは明らかである。サラ金=高利貸金業者は、極めて低い金利で調達した資金を高利で貸し付けて暴利を得ているため、必然的に過剰貸付を行い、その結果として多重債務者を大量に生み出し、返済困難に陥った者に対して過酷な取立を行うことになる。このような体質を有するサラ金の広告を行うことが、反社会的なことであり、新聞読者に対して被害を撒き散らすものであることは、新聞社として当然に認識しなければならないことであり、我々の申し入れを受けなくても、自らサラ金広告を中止すべきなのである。
2.違法な金利での営業と不当利得の返還懈怠
サラ金=高利貸金業者は、貸金業規制法43条1項(みなし弁済規定)を根拠に、利息制限法を超過し、出資法上限金利の範囲内の金利で営業をしているが、最高裁は2005年12月15日判決でリボルビング取引の場合にみなし弁済規制の適用を否定し、2006年1月13日には約定金利の支払を怠った場合に当然に期限の利益を喪失する旨の約定がある場合にみなし弁済規定の適用を否定した。これらの判決によって、利息制限法を超過した金利での貸付をしている全ての貸金業者の営業が違法であることが明確になった。
全てのサラ金業者はこれらの最高裁判決を受けて、これまでに顧客から受けた過払い金の不当利得=違法収益を顧客に返還して、自らが生じさせた多重債務問題の解消を図るべきであるが、大手サラ金業者を初めとして、自ら不当利得を顧客に返還しているサラ金業者は皆無であり、かえって、過去の取引履歴を廃棄したと主張して、不当利得返還額を抑えようと図っているのであり(アイフル、三洋信販、レイクなど)、サラ金業者の反社会性は明白である。
このようなサラ金業者の広告を新聞社が続けるならば、新聞社も共犯の立場に立ってしまうことになる。サラ金業者が、利息制限法を超える利息の支払義務はないことを全ての顧客に通知し、既発生の過払い金を直ちに全額返還し、取引中の顧客の利息を全て利息制限法の範囲内で引き直さない限り、サラ金業者の広告は中止しなければならない。
3.アイフルグループ企業の広告について
アイフル本体については、今回の業務停止処分を受けて広告を自粛しているが、その子会社(ライフ、トライト、ワイド、TCM、パスキー、ビジネクスト、シティズ)の広告は全く自粛されておらず、相変わらず垂れ流されている。
アイフル本体は広告を自粛しても、子会社の広告を大量に行い利益を上げていれば、結局アイフルグループとしては何ら社会的・経済的制裁を受けることにはならず、「自粛」とは名ばかりのことになる。しかもアイフルの子会社はいずれもアイフル本体の営業姿勢を色濃く反映しており、多くが違法・不当な営業を行っている。
例えば、シティズは多重債務者が生活再建を行うために特定調停や個人再生手続きを行うことに対して異議申立を出して妨害することを繰り返しているし、1日でも支払を遅れるとその後一貫して高利の遅延損害金金利を主張して譲らない姿勢を取っている。ライフは、会社更生手続に際して、長期間取引をしている顧客の過払い金返還請求権を失権させて、その返還に応じない姿勢を取っているうえ、クレジット業務においても過剰与信の批判を受けている。トライトは、営業譲渡を理由に顧客に対する過払い金返還請求を拒否している。
このように、アイフルグループは、グループ全体として、企業倫理、コンプライアンスの観点から極めて問題があるのであって、このような姿勢が改められない以上、新聞社としては、アイフルグループ全体として広告を拒否するべきである。
4.貸金業の広告のその他の問題
サラ金=高利貸金業者の問題は、高金利や過払い金の返還懈怠の問題だけではない。
仮に利息制限法の範囲内で貸付けをしている貸金業者であっても、広告において最も多く貸し付ける金利帯を表示しないという欺瞞的な金利表示の問題、利息制限法に引き直さない「おまとめローン」の勧誘の問題、顧客の返済能力を十分に調査しない過剰貸付の問題、消費のための貸付に居住用不動産を担保として生活の基盤を危機に陥れる不動産担保ローンの問題など、違法・不当な貸付形態が横行しており、これらの貸付形態によって、深刻な多重債務問題が生み出されているのである。さらにアコムと東京三菱UFJが提携して設立された「アットローン」、三井住友銀行とプロミスが提携して設立された「モビット」など銀行系サラ金の広告においても大銀行のグループ企業であることを強調し信頼感を抱かせつつ、必要のない過剰な借入を煽る内容となっているし、資力の乏しい借主に対しては、利息制限法を超える貸付を行うアコムやプロミスによる融資へ誘導がなされている。
したがって、各新聞社においては、サラ金広告についての審査基準を見直し、このような貸付形態によって営業を行う貸金業者については、広告を受け入れないことが求められているのである。
5.まとめ
以上の理由から、申し入れの趣旨記載の申し入れをなすものである。
新聞の公共的使命を踏まえて、この申し入れを真剣に受け止め、迅速に対応されることを期待するものである。
※ 本申し入れの取りまとめ責任者
〒870-0047
大分市中島西1-4-14市民の権利ビル3階
弁護士法人おおいた市民総合法律事務所
TEL 097-533-6543、FAX 097-533-6547
弁 護 士 河 野 聡
〔アイフル被害対策全国会議代表〕